店主挨拶

店主の佐藤昌三です。今年7月で66歳になります。

今、古い機械式時計が見直されて 私の店に修理品が殺到をしております。
水晶発振の時計が発売され、正確さは群を抜き、この道で生きていくのは不可能なのではないのか?
と思った時期もありましたが、
いま、修理が終わり、再び命を得たようにカチカチとゼンマイと歯車で元気に
動き始めた時計たちを見ると思わず、笑みがこぼれます。

何千年でも1秒も狂わない? ソーラーで20年止まることを知らない?
私の半生の中で、技術革新はもの凄いスピードで生活を変えていきました。

誰もが1台の車を保有し 家一軒分もした高価な時計が、子どものお小遣いで買える。

宇宙から来る電波で自分の位置が確認できる。

電波で2千年に1秒しか狂わない??

車からラジオ、携帯電話、炊飯器、懐中電灯にいたるまで時計が組み込まれている。

そんな便利な時代に、いま機械式腕時計がそれも何十万円もするスイスの腕時計が見直されています。

機械式時計は、出来れば年に1回。おそくとも4年に一度は 中をあけて部品たちが正確な位置でブレはないか。
切削クズが舞っていないか 油は切れていないかチェックの必要があります。

また、エコの時代になってみると、古いと言われるゼンマイだけで動く機械式時計が見直されています。

創作時計を作り続けて30年 今年は一つの区切りを付けようと思っています。

忙しくなったのが主な理由ですが、ひとつ夢があります。

今までは時計の歯車を数多く手作りしてきましたが

懐中、腕時計の歯車は小さくて手作りでは不可能でした。

それで最近やっと旋盤による歯切りをすべくクロススライド、ミーリングアタチメント、

歯切りカツター(まだ少ないので限定されますが)を購入しました。

まだ19セイコーの3番カナしか別作しておりませんがおいおい挑戦したいと思っています。

私の時計修理業としての理念

技術革新が激しい工業製品は、そのモデルが製造中止になった時点で、
交換部品が供給されなくなることがままある。

となると、その工業製品は「時代遅れ」のレッテルを貼られていくが、

それが製品自体の寿命を意味しないところに、忘れられたり捨てられたりという悲劇が起こる。

時計は ただ単なる機械として家庭に置かれているモノとしての価値以上に家族の絆として
快い音を響かせて時を刻み続けています。

その家宝とも言える時計が 本来の時計としての機能 つまり
時を刻む機能が失われたときに 時計としての価値を失うわけですが、
私が手を貸すことで その時計たちはまた元気になるわけです。

その手助けを、微力ながら生涯の仕事として、私の命を時計に注ぎ込む事によって

時計の命を甦らせてみたいと強い願望を持っています。